【EHF EURO2018レポート】
ドイツ代表チーム紹介


1月12日より、クロアチアで2019年世界選手権(ドイツ/デンマーク)の出場権をかけた欧州選手権(EHF EURO2018。以下、EURO2018)が開催されている。

日本ではEHFが運営するストリーミングサイト「ehf.tv」にて全試合視聴出来るので、世界最高峰の戦いが如何なるものか是非見てもらいたい。
今回は、その中でも6月に来日が決定しているドイツ代表を紹介する。

本稿を通してドイツ代表の事をより深く知ってもらえたらと願うばかりである。

男子ドイツ代表チーム、愛称は”Badboys”

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国際大会での獲得タイトル
<EHF EURO>
1998(イタリア) :3位
2002(スウェーデン) :2位
2004(スロヴェニア) :優勝
*2016(ポーランド) :優勝
<IHF 世界選手権>
1978(デンマーク) :優勝
2003(ポルトガル) :2位
2007(ドイツ) :優勝
<オリンピック>
1984(ロサンゼルス) :2位
2004(アテネ) :2位
*2016(リオデジャネイロ) :3位

上記の戦績を見てわかるとおり、2007年地元開催の世界選手権を境にドイツは長らく低迷期にあった。その後建て直しを図るべく2014年秋から代表監督に就任したのが、現日本代表監督のダグル・シグルドソンであった。2009年からフュクセ・ベルリンを率い、2部から昇格したてのチームをブンデスリーガ上位へ押し上げ、EHFチャンピオンズリーグFINAL4進出、EHFカップ優勝へ導いた手腕にDHB(Deuscher Handballbund:ドイツハンドボール連盟)が注目しないはずがなかった。

DHBがシグルドソンと共に掲げた目標は2020年東京オリンピックでの金メダル獲得。6年という長い時間をかけてドイツを再び世界の頂点へ返り咲かせるというプロジェクトであったが、シグルドソンはわずか2年でEURO優勝、オリンピック銅メダルという国際タイトルを獲得し、目標達成を現実的なものにした。

DHBは2020年までの契約延長を望んでいたが、周知の通り、シグルドソンはドイツ代表との契約延長を固辞して日本代表監督になる事を決意した。急遽後任を立てなければならなくなったが、白羽の矢が立ったのは当時38歳の青年監督クリスティアン・プロコップであった。プロコップは25歳から監督業を始め、2013年にSC DHfKライプツィヒ(当時2部)の監督に就任。1部リーグへ昇格、昇格1年目で残留(11位)、翌年は8位へ導くという、チームを中長期的な目線で強化した実績を買い、プロコップと2022年までの5年契約を結んだ。

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今回、EURO2018に臨むメンバーの
平均年齢は26.9歳
平均身長は193.8cm
平均体重は96.4kg

プロコップのチーム作りは、若手の積極登用、フィットネスの強化、そして強固なディフェンスブロックの構築というシグルドソンがそれまで行ってきた強化方針を踏襲している。
EUR2O018予選はシグルドソン体制下含めて全勝で突破。EURO直前に行ったアイスランドとの強化試合も36-29、30-21と連勝し、ディフェンディングチャンピオンとして連覇を目指す体制は順調に整えられた。

プロコップが本大会に招集した16名のメンバー及びリザーブメンバーは以下の通りである。
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<ゴールキーパー>
アンドレアス・ヴォルフ(Andreas Wolff/THWキール)
シルヴィオ・ハイネフェッター(Silvio Heinevetter/フュクセ・ベルリン)

*ヨハネス・ビッター(Johannes Bitter/TVB1898シュトゥットガルト)
*カルステン・リヒトライン(Carsten Lichtlein/VfLグンマースバッハ)

<バックプレイヤー>
ユリウス・クューン(Julius Kühn/MTメルズンゲン)
フィリップ・ヴェーバー(Philip Weber/SC DHfKライプツィヒ)
シュテフェン・フェト(Steffen Fäth/フュクセ・ベルリン)
パウル・ドゥルックス(Paul Drux/フュクセ・ベルリン)
カイ・ヘフナー(Kai Häfner/TSVハノーファー・ブルクドルフ)
シュテフェン・ヴァインホルト(Steffen Weinhold/THWキール)
マクシミリアン・ヤンケ(Maximilian Janke/SC DHfKライプツィヒ)

*フィン・レムケ(Finn Lemke/MTメルズンゲン)
*ファビアン・ヴィーデ(Fabian Wiede/フュクセ・ベルリン)
*ティム・クノイレ(Tim Kneule/フリッシュ・アウフ・グェッピンゲン)
*ニクラス・ピィエツコフスキ(Niclas Pieczkowski/SC DHfKライプツィヒ)
*マリアン・ミヒャルツィク(Marian Michalczik/TSV GWDミンデン)
*フランツ・ゼンパー(Franz Semper/SC DHfKライプツィヒ)

<ウイング>
ウーヴェ・ゲンスハイマー(Uwe Gensheimer/パリ・サンジェルマン)
パトリック・グレツキー(Patrick Groetzki/ラインネッカー・レーヴェン)
トビアス・ライヒマン(Tobias Reichmann/MTメルズンゲン)

*ルーネ・ダームケ(Rune Dahmke/THWキール)
*ティム・ホーンケ(Tim Hornke/TBVレムゴー)
*マルセル・シラー(Marcel Schiller/フリッシュ・アウフ・グェッピンゲン)

<ピヴォット>
ヘンドリック・ペケラー(Hendrik Pekeler/ラインネッカー・レーヴェン)
ヤニック・コールバッハー(Jannik Kohlbacher/HSGヴェツラー)
パトリック・ヴィーンツェック(Patrick Wiencek/THWキール)
バスティアン・ロシェック(Bastian Roscheck/SC DHfKライプツィヒ)

*エリック・シュミット(Erik Schmidt/フュクセ・ベルリン)

*:リザーブメンバー
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大会期間中、6人までメンバー登録変更が認められている為、怪我人や戦術的な理由でメンバー交代がある可能性は高い。

1月7日のアイスランド戦後、上記のメンバーが発表されたのだが、サプライズはフィン・レムケとファビアン・ヴィーデの落選、リザーブメンバーへの登録であった。
両名共に前回大会の優勝メンバーであると同時に、チームの核となる実力の持ち主であるからだ。フィン・レムケは210cm115kgという恵まれた体躯を活かした守備能力を買われて予選からディフェンスリーダーとして活躍してきた。
そして、ファビアン・ヴィーデもゲームメイクが出来る左利きのエースとして同じく欠かせない戦力として選ばれ続けていた。彼ら二人に代わり、プロコップがかつて指揮していたSC DHfKライプツィヒからマクシミリアン・ヤンケ、バスティアン・ロシェックが選ばれるという人選にはドイツハンドボールの有識者から批判が出た。
しかし、2日に1試合というハードスケジュールは怪我のリスクが高い。さらに、後ほど紹介する対戦相手にはスロヴェニア以外にドイツの脅威となるチームはいない。その事から、レムケ、ヴィーデを決勝ラウンドまで温存していると考えても良いだろう、

ここでドイツ代表の注目選手を紹介する。

ウーヴェ・ゲンスハイマー(レフトウイング、188cm/89kg)
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世界最高のレフトウイングの一人。
17歳からラインネッカー・レーヴェンでプロデビューし、チームの顔として2015/16シーズンまで13シーズンもの間プレーし、現在は世界最高峰のチームであるパリ・サンジェルマン不動のレフトウイングとして活躍している。豊富な経験と柔軟な関節、多彩なシュートパターンを武器に得点を量産し、昨シーズンのEHFチャンピオンズリーグでは得点王のタイトルを獲得。今シーズンも得点ランキング1位の座にいる。
<ウーヴェ・ゲンスハイマー 柔軟な関節を活かしたシュート集>

インタビュー動画

<個人SNS>
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アンドレアス・ヴォルフ(ゴールキーパー、198cm/110kg)
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EURO2016のBest 7に選ばれたゴールキーパー。
前回大会でドイツが優勝出来たのはヴォルフのおかげと言っても過言では無い程、センセーショナルな活躍をし、一躍スターダムへのし上がった選手である。
リオデジャネイロ五輪後の2016/17シーズンより、HSGヴェツラーから強豪THWキールへ移籍し、世界最高のゴールキーパーの一人であるニクラス・ランディン・ヤコブセン(デンマーク)と共にコンビを組んでいる。ヴォルフの特徴は身体を思った通りに動かせる敏捷性と柔軟性から繰り出されるビッグセーブ。今大会、彼のセービングに是非注目して欲しい。

<アンドレアス・ヴォルフ EURO2016決勝セーブ集>

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インタビュー動画


ユリウス・クューン(レフトバック、198cm/110kg)
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EURO2016、リオデジャネイロ五輪で頭角を表した24歳の新エース。
18歳でプロデビューし、HSGデュッセルドルフ、TUSEMエッセン、VfLグンマースバッハと渡り歩き、今シーズンから強豪のMTメルズンゲンへ移籍。19試合を終えて119ゴールという数字を残し、得点ランキング4位、フィールドゴールランキングでは首位に立っている。
彼の特徴は198cm、110kgという体躯を活かした破壊力抜群のミドルシュート。調子のブレが少なく、コンスタントに点を取る事が出来る為、今大会もクューンがチームを救う場面が多く見られると思う。
<ユリウス・クューン ゴール集>

インタビュー動画

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ヘンドリック・ペケラー(ピヴォット、203cm/102kg)
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剛柔兼ね備えたドイツNo.1のピヴォットプレイヤー。
代表デビューは2012年から果たしていたが、2015年のラインネッカー・レーヴェン移籍後、世界最高のプレイメーカーの一人であるアンディ・シュミット(スイス)と共にプレーした事で才能が開花。冷静な判断力と高い戦術理解度、優れたテクニック、そして強靭なフィジカルを武器に、攻守共に不可欠の存在としてEURO2016優勝、リオ五輪銅メダルの原動力となった。今大会、ペケラーのディフェンスの激しさと多彩なシュートパターンに是非注目して欲しい。
<ヘンドリック・ペケラー ゴール集>

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<個人SNS>
Instagram: https://www.instagram.com/hendrikpekeler/

カイ・ヘフナー(ライトバック、192cm/93kg)
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前日本代表監督のアントニオ・カルロス・オルテガ率いるTSVハノーファー・ブルクドルフのキャプテン。ダイナミックなプレーを得意とするユリウス・クューンとは対照的に、相手ゴールキーパーとディフェンスのタイミングを外すシュートや堅実なディフェンスなど、攻守共にいぶし銀の働きをする事から、チームに欠かせない戦力としてEURO2016、リオ五輪、2017世界選手権でも中心選手としてコートに立っていた。今大会も安定したパフォーマンスでチームを支えるだろう。

<EURO2016準決勝でカイ・ヘフナーが決めたブザービーター>

インタビュー動画

パトリック・グレツキー(ライトウイング、189cm/84kg)
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ドイツを代表するライトウイング。18歳でラインネッカー・レーヴェンと契約し、10シーズンもの間レーヴェン一筋でプレーしている。前回大会では大会直前にリーグ戦で負った負傷により欠場、リオ五輪でも怪我で途中離脱した為、未だに代表での国際タイトルは獲得出来ていない。その悔しさがあるだけに、今大会へ懸ける想いは強い。
本人も語っている通り、グレツキーの特徴は、高い身体能力と判断力、戦術理解度などのハンドボールIQの高さ。それが存分に発揮されたのが初戦のモンテネグロ戦。素早い判断とダッシュで失点を防いだ。

インタビュー動画

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ドイツ代表監督:プロコップ インタビュー動画

fin

フィン・レムケ インタビュー動画

EURO2018は、まず4グループ4チームによる一次リーグが行われ、各グループ上位3チームが勝ち抜ける。その後、2グループ6チームに分かれての二次リーグが開催される。そして、二次リーグの各グループ上位2チームずつが準決勝へ進む。このようなシステムとなっている。

ドイツ代表が一次リーグを戦うのは、ザグレブを開催地とするグループC。

グループステージの対戦スケジュールは以下の通りである。

<1月14日 1:15~ vs. モンテネグロ>

ドイツは緒戦を32-19という大差で勝利し、順調なスタートを切った。
この大量得点差を作り出したのは、76%という高いシュート決定率と堅牢なディフェンス。特筆すべきはディフェンスで、アンドレアス・ヴォルフの46%という驚異的なセーブ率に支えられ、6分間以上、モンテネグロに得点を許さない場面が4度見られた。

次戦は2017年世界選手権3位のスロヴェニア。緒戦はマケドニアにまさかの敗北を喫したが、上位へ行くポテンシャルを十分に秘めたチームである事に変わりはない。

<1月16日 2:15~ vs. スロヴェニア>

<1月17日 2:15~ vs. マケドニア>

その後の二次リーグをクロアチアの北端に位置する町ヴァラズディンで戦う。

ドイツが一次リーグで1位になると、

-1月21日

-1月23日

-1月24日

2位になった場合は、

-1月19日

-1月21日

-1月24日
というスケジュールで試合を行う。

日本に住む方々にとっては深夜で厳しい時間帯だが、6月に来日するBadboysの戦いを是非観戦して、少しでも親しみを持ってもらえると喜ばしい限りである。
(文中敬略称)

【選手情報の誤表記及び訂正のお詫び】
アンドレアス・ヴォルフの選手情報に事実とは全く異なる情報を記載してしまった為、訂正致しました。
EHF EURO2016 MVPではなく、正しくはEHF EURO2016のBest 7、大会ペストゴールキーパーに選ばれました。
大変申し訳ございませんでした。
http://pol2016.ehf-euro.com/news/single-news/detail/News/ehf-euro-2016-all-stars-named/

【参考URL】
・DHB(ドイツハンドボール連盟)

https://dhb.de/startseite.html

・EHF EURO2018公式HP

http://cro2018.ehf-euro.com/home/

・ehttv
https://www.ehftv.com

RyoheiKobayashi

1987年神奈川県藤沢市生まれ。ドイツ連邦共和国バーデン=ヴュルテンベルク州マンハイム在住。日本ハンドボール協会ヨーロッパ特派員。
学生時代ドイツへ旅行した際に観たEHFチャンピオンズリーグRhein-Neckar Löwen対FC Barcelonaで感じた興奮と、Gudjon Valur Sigurdsson(Rhein-Neckar Löwen)によるファンサービスへの感動からドイツへの憧憬を覚える。
卒業後、東証一部上場メーカーで勤務するも、休暇を利用して訪れたドイツにて、THW Kielの広報、Füchse Berlinの事務局長へインタビューしたことをきっかけに、ドイツの地でプロハンドボールクラブのマネージャーになることを志し、退職して渡独。
現在、代理人、通訳としても活動中。
好きな酒は、日本酒、球磨焼酎、ビア、ワイン

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