データ比較から見るJAPAN CUP2018


今月13、16日に行われるJAPAN CUP2018、男子日本代表vs.ドイツ代表をより楽しんでもらう材料として、今回は両チームに関するデータを紹介する。
(数字は2018年6月13日@徳島の時点)

まず、日本のメディアではドイツ代表の事をIHF世界ランキング1位と紹介されているが、このランキングは現在の強さを示す指標としては全く当てはまらないので、無視してもらいたい
なぜなら、IHFのランキングはIHF設立時から現在に至るまでの国際大会における戦績(しかも男女)を合算したものだからだ。

その証拠として、近年男女併せて数多くの国際タイトルを獲得しているフランスが7位にいて、その上にセルビア、ハンガリー、ロシアなどの国々がいる。これではさすがに現状の強さを示す指標と言い難い。

現在のIHFランキング

1位:ドイツ(旧東ドイツ、旧西ドイツ、統一ドイツのポイントを合算)
2位:ロシア(旧ソ連、ソ連解体後のロシア連邦のポイントを合算)
3位:デンマーク
4位:ハンガリー
5位:スウェーデン
6位:セルビア(旧ユーゴスラヴィア、旧セルビア=モンテネグロ、セルビアのポイントを合算)
7位:フランス
8位:スペイン
(IHF公式HPより引用 http://www.ihf.info/en-us/thegame/rankingtable.aspx)

さて、両国のデータ比較へ入ろう。
最初は平均年齢、身長、体重などについて比べてみよう。

基本データの比較

ドイツ代表-Badboys-

選手平均年齢:27.25才
選手平均身長:194.70cm
選手平均体重:98.75kg
最大身長:210cm(フィン・レムケ/レフトバック)
最低身長:186cm(マティアス・ムーシェ/レフトウイング)
最年長選手:33才(ズィルヴィオ・ハイネフェッター/ゴールキーパー)
最年少選手:21才(マリアン・ミヒャルツィク/レフトバック)

国内リーグ開催期間:8月24日〜6月3日
参照元:
DHB公式HP
DKB Handball-Bundesliga公式HP

日本代表メンバーは未だ公式発表されていないので、1月に行われたアジア選手権時のメンバーを参照する。

日本代表-Dagur Japan-

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選手平均年齢:27.26才
選手平均身長:185.58cm
選手平均体重:88.79kg
最大身長:196cm(笠原 謙哉/ピヴォット)
最低身長:174cm(宮﨑 大輔/レフトウイング)
最年長選手:37才(宮﨑 大輔/レフトウイング)
最年少選手:19才(部井久 アダム 勇樹/レフトバック)
国内リーグ開催期間:8月26日〜3月25日
参照元:

JHA公式HP
JHL公式HP
Chartres Métropole Handball28公式HP

平均年齢はほぼ同じ。
ドイツはシグルドソン監督が指揮していた時代に実施した若返り策で抜擢された選手たちが育ち、EURO2016時(25,6才)から平均年齢が少々上がった。
一方、日本は現在、シグルドソン監督がドイツ時代と同様に行なっている世代交代の過渡期にある。

身長、体重が勝負を決める決定的な要因だとは言えないが、
平均身長差:9.12cm
平均体重差:9.96kg
両チームの体格差は明らかである。
しかし、来日直前まで長い長いリーグ戦を戦い抜いて多量の蓄積疲労を抱えるドイツに比べて、3月にリーグを終えた日本代表のコンディションはフレッシュ。
この体格・コンディションの差が今月の試合でどう表れるか、観る楽しみの一つとなると思う。

続いて、近年の国際大会における戦績を比較してみよう。

国際大会の戦績比較

ドイツ代表-Badboys-

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[世界選手権]
2007@ドイツ:優勝🥇
2011@スウェーデン:11位
2013@スペイン:5位
2015@カタール:7位(ワイルドカードで出場、ダグル・シグルドソン体制)
2017@フランス:9位(ダグル・シグルドソン体制)
2019@ドイツ・デンマーク:ホスト国として出場

[欧州選手権(EURO)]
2004@スロヴェニア:優勝🥇(2004アテネ五輪出場権獲得)
2014@デンマーク:予選落ち(歴史上初めてのEURO予選敗退)
2016@ポーランド:優勝🥇(2016リオ五輪出場権獲得/ダグル・シグルドソン体制)
2018@クロアチア:9位(クリスティアン・プロコップ体制)

[オリンピック]
2004@アテネ:2位🥈
2008@北京:9位
2012@ロンドン:予選落ち
2016@リオ:3位(ダグル・シグルドソン体制)

日本代表-Dagur Japan-

[世界選手権]
2011@スウェーデン:16位
2013@スペイン:予選落ち
2015@カタール:予選落ち
2017@フランス:22位(アントニオ・カルロス・オルテガ体制)
2019@ドイツ・デンマーク:ワイルドカードで出場(ダグル・シグルドソン体制)

[アジア選手権]
2012@サウジアラビア:4位
2014@バーレーン:9位
2016@バーレーン:3位(世界選手権2017出場権獲得/アントニオ・カルロス・オルテガ体制)
2018@韓国:6位(世界選手権2019予選落ち。しかしワイルドカードで復活出場/ダグル・シグルドソン体制)

[オリンピック]
2004@アテネ:予選落ち
2008@北京:予選落ち
2012@ロンドン:予選落ち
2016@リオ:予選落ち

国際大会での実績は両国の間に歴然とした差がある。
加えて、ドイツ代表は13/20名がEURO2016優勝もしくは2016リオ五輪銅メダル獲得時のメンバーであり、今季11名が国内リーグに加えてヨーロッパの大会(EHFチャンピオンズリーグ、EHFカップ)へ参戦し、4名が両大会のFINAL4まで進出した。

他方、日本代表は12/19名が2017年世界選手権への出場経験を持つものの、所属クラブで国際大会出場経験があるのは土井レミイ杏利(シャルトル・メトロポール・アンドバル28)のみ。2013-2017年の間在籍したシャンベリー・サヴォワ・アンドバルでEHFカップへ3シーズン出場し、ズィルヴィオ・ハイネフェッター、ファビアン・ヴィーデが所属するフュクセ・ベルリンと4度対戦し2得点を挙げている。

選手個人の経験値の質と量ではドイツが日本を圧倒的に上回っていると言える。

最後に、チームを率いる指揮官の実績を比較する。

指揮官の比較

ドイツ代表-Badboys-

クリスティアン・プロコップ
1978年12月生まれ(39才)、旧東ドイツ出身

[監督としてのキャリア]
2003-2004:アイントラハト・ヒルデスハイム ユースチーム
2005-2006:MTVブラウンシュヴァイク(3部)
2006-2009:TSVハノーファー・アンダーテン(3部→2部)
2009-2011:SCマクデブルク セカンドチーム(2部)
2011-2012:SVポスト・シュヴェリーン(2部→財政破綻)
2012-2013:TUSEMエッセン(1部→2部)
2013-2017:SC DHfKライプツィヒ(2部→1部)
2017-  :ドイツ代表

[獲得タイトル、受賞歴]
・3部→ブンデスリーガ2部昇格(2007)
・ブンデスリーガ2部→1部昇格(2015)
・DHBポカールFINAL4進出(2016、クラブ史上初)
・ブンデスリーガ 年間最優秀監督賞(2016)

日本代表-Dagur Japan-

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ダグル・シグルドソン
1973年4月生まれ(45才)、アイスランド出身
[監督としてのキャリア]
2003-2007:ブレゲンツ・ハンドバル(オーストリア1部/選手兼監督)
2008-2010:オーストリア代表
2009-2015:フュクセ・ベルリン(ブンデスリーガ1部)
2014-2017:ドイツ代表
2017-  :日本代表

[獲得タイトル、受賞歴]
・オーストリアリーグ1部優勝(2004〜2007)
・オーストリア国内カップ優勝(2006)
・EURO2010@オーストリア9位(史上初のグループステージ突破)
・EHFチャンピオンズリーグ4位(2012、クラブ史上初のFINAL4進出)
・DHBポカール優勝(2014、クラブ史上初)
・EHFカップ3位(2014)
・EHFカップ優勝(2015、クラブ史上初)
・IHF世界最優秀監督賞(2015)
・EURO2016@ポーランド優勝
・2016リオ五輪銅メダル

プロコップ監督はドイツ代表監督に就任するまで、様々なカテゴリーでの指導経験が豊富にある一方、強豪チームを率いた経験と国際大会での指揮経験が無かった。
今年1月に行われたEHF EUROではメンバー選考ミス、勝負所での采配ミスなどが響いてチームが途中で失速してしまい、二次リーグ敗退(9位)で大会を終えた。
DHB(ドイツハンドボール連盟)は、2019年1月に開催国として参加する世界選手権及び2020年東京五輪での優勝を目指すべく、EHF EURO2018では準決勝進出を最低限の目標としていた。その為、大会後にEUROでの戦いを分析検証する委員会が直ちに設けられプロコップ監督を解任するか否かが協議されたものの、若き指揮官が持つ可能性を信じ、もう一度チャンスを与えるという事で続投が決定された。

それに対して、日本代表のシグルドソン監督がこれまで積み上げてきた実績は輝かしいものである。
日本代表では未だ目に見えた結果を出せていないが、
クラブチーム(当時1部へ昇格したてのフュクセ・ベルリン)
及び
代表(ホスト国としての出場を控えたオーストリア代表、史上初のEURO予選敗退で失意の底に沈んだドイツ代表)において再建・強化を行い、いずれも成功を収めてきた。
百戦錬磨の名将シグルドソン監督は、自身がベースを作り上げ、能力、体格、実績において遥かに上回るドイツ代表を相手に、日本代表を率いてどう戦うのか。是非現地で目の当たりにしてもらいたい

小林 遼平
(文中敬略称)

RyoheiKobayashi

1987年神奈川県藤沢市生まれ。ドイツ連邦共和国バーデン=ヴュルテンベルク州マンハイム在住。
学生時代ドイツへ旅行した際に観たEHFチャンピオンズリーグRhein-Neckar Löwen対FC Barcelonaで感じた興奮と、Gudjon Valur Sigurdsson(Rhein-Neckar Löwen)によるファンサービスへの感動からドイツへの憧憬を覚える。
卒業後、東証一部上場メーカーで勤務するも、休暇を利用して訪れたドイツにて、THW Kielの広報、Füchse Berlinの事務局長へインタビューしたことをきっかけに、ドイツの地でプロハンドボールクラブのマネージャーになることを志し、退職して渡独。
現在、代理人、通訳としても活動中。
好きな酒は、日本酒、球磨焼酎、ビア、ワイン

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